映像オーディオについて

サラウンドを知ろう

その1. サラウンドの歴史と映画音楽

全ては臨場感のために始まった音響システム

映像というと画質の面が取り上げられる大きく取り上げられますが、より本格的な映像環境として音響システムのニーズが高まっていいます。
その代表的なシステムがサラウンドであり、長い歴史の中で進化を遂げてきました。
例えば、ホームシアターでは映像をテレビ、音声をサラウンドスピーカーに出力することで、より臨場感あるシステムが構築されています。

また、最近では Windows 10やコンシューマーゲーム機など、ゲーミングにおいてもサラウンド音響に対する関心は高まっています。

そこで、まずはサラウンドの歴史から変遷をたどっていきましょう。

サラウンドとは

サラウンド(英語:surround)は、音声の記録再生方法のひとつである。モノラル(1.0ch)、ステレオ(2.0ch)音声よりも多くのチャンネル(3ch以上)を有する。一般的には単にサラウンド、あるいはサラウンド音声という言い方がされる。

(Wikipediaより一部抜粋)

1940年代

サラウンドのはじまり

このサラウンド方式は、古くはアメリカのアニメーション映画「ファンタジア(1940年)」に始まります。 このころからアメリカの映画業界では当たり前の技術として用いられました。

当時の技術では、3チャンネルの光学トラック※1と1チャンネルのコントロールトラックを用いサラウンドを実現させていました。

※1.光学トラックとは

光学トラックとは、音の信号を光に変えて録音する方式の事で、映画のフィルムなどに用いられた方式です。一般的に「サウンド・オン・フィルム方式」と呼ばれ、映画フィルムのコマ列(映像部分)と、フィルム送りのための穴の間の隙間を用い、帯状の感光部分を設けます。そして音の情報をこの感光状態の変化として録音する方式です。

1950~60年代

光学から磁気へ

1950年代に入り、映画館のスクリーン大型化に伴って音声も光学トラックから磁気トラックへと変化しています。 磁気トラックよりも音響システムに広がりが生まれ、フロント5チャンネルまたは3チャンネル、サラウンドチャンネル1チャンネルと進化を遂げました。

1970年代

サラウンド戦国時代へ

70年代に入るとサラウンドシステムに画期的な技術が登場し、一般家庭にもやってきます。

これは、これまでの磁気トラックを用いたディスクリート方式とは違い、ステレオ(2チャンネル)に4チャンネルの信号を伝送する「マトリックス方式」と呼ばれるものです。

この方式は、いくつかの方式があり、RM(レギュラーマトリックス)方式や、SQ方式、シャイバー方式など、多くの方式が乱立しました。 ただし、あまりにも多くのメーカーが様々な方式で製造したこともあり、性能の制約や互換性がないなど問題点も多く、一般的に普及することなく姿を消してしまいました。

では、映画業界ではどうだったのでしょうか?

映画産業では、1976年に有名な Dolby Laboratories(ドルビー)による「Dolby Stereo」が開発されました。

1980年代

大幅に進化したDolbyサウンド

70年代に入るとサラウンドシステムに画期的な技術が登場し、一般家庭にもやってきます。

これは、これまでの磁気トラックを用いたディスクリート方式とは違い、ステレオ(2チャンネル)に4チャンネルの信号を伝送する「マトリックス方式」と呼ばれるものです。

この方式は、いくつかの方式があり、RM(レギュラーマトリックス)方式や、SQ方式、シャイバー方式など、多くの方式が乱立しました。 ただし、あまりにも多くのメーカーが様々な方式で製造したこともあり、性能の制約や互換性がないなど問題点も多く、一般的に普及することなく姿を消してしまいました。

では、映画業界ではどうだったのでしょうか?

映画産業では、1976年に有名な Dolby Laboratories(ドルビー)による「Dolby Stereo」が開発されました。

1990年代

デジタルサラウンドの時代

この時代に入り、いよいよ音源の圧縮技術の世界が誕生します。
1990年にKodac CDSシステムが、世界で初めてのデジタル音声システムとして登場しました。これは、デルタ変調により音源を4:1に圧縮することで5.1チャンネルを再生させることに成功します。また、1992年にはDolby Laboratoriesより「Dolby Digital」が開発されました。この方式は光学トラックと共存することが可能で、映画との親和性が高く、DVDなどの音声フォーマットとして広く普及しています。そして、Dolby Digitalは、THX Surround EXに対応させることで、サラウンドチャンネルが3チャンネルに増え6.1チャンネルでの再生も可能となった「Dolby Digital EX」も登場しています。

また、1993年にDigital Theater System(DTS)の登場や、ソニーが開発した Sony Dynamic Digital Sound(SDDS)が登場しています。

DTSは、音声のトラックをDC-ROMで提供することで、映画フィルム上の再生タイミング(タイムコード)と同期することができることが利点で、SDDSはフロント5チャンネル、サラウンド2チャンネル、低音1チャンネルの7.1チャンネルを再生することのできる画期的なシステムでした。

また、90年代後半にかけて、デジタルサラウンドは飛躍的な進歩を遂げます。

MPEGです。

1994年にはMPEG-1互換のMPRG-2 BCが承認され、マルチチャンネル対応の音声コーデックが生まれディスク内にサラウンドデータを格納することに成功します。

また、97年にはDVD-Audioによるロスレス圧縮や、LPCMなどの6チャンネル再生が可能となりました。

2000年代

媒体に合わせた使いやすさや高音質化

2000年代に入り、デジタルへの移行が大きく進んだことにより、これまで音声技術に強いベンダーだけでなく、マイクロソフトなどのシステムベンダーも参入しています。

マイクロソフトは2003年WIndowsOSでのマルチメディア再生環境であるWMA9をリリースします。これは、ストリーミング環境でのサラウンド再生を可能にしており、WMA9 Proでは、128kbps~768kbpsのレートで最高7.1チャンネルの再生、また96kHz/24bitのサンプリングレートに対応しています。

他にも、MP3 Surroundや、Neural Audioなどの低ビットレートサラウンド技術も登場しました。

また、Dolby TrueHDやDTS-HDなど、高ビットレートでの圧縮技術が登場し、サラウンドの高音質化が図られています。

2010年代~現在

臨場感・没入感を求めて

2010年代に入り、これまであったサラウンドシステムをより洗練させもっと立体的な音響を楽しむため、オブジェクト・ベース・オーディオが開発されます。

これまでは大まかに前後左右のサラウンドシステムであったため、背後から正面へ音が移動する際(主に効果音など)、どうしても右もしくは左のチャンネルを通り前に行くという動作をしていました。また、映画館では、上映する劇場の大きさやスピーカーの設置数なども異なり、どうしても平面的な音の移動になり、作者の意図とは違った形で再生されてしまうことがあったためです。

そこで、Dolby Atmos や DTS:Xでは、この「移動する音(オブジェクト)」に対して座標情報を持たせ、劇場のスピーカー数にあわせ音をレンダリングするという技術が導入されています。

これにより、水平方向だけでなく、垂直方向にも音の広がりを見せることが可能になり、映画の没入感や臨場感が増したサラウンドを楽しむことができるようになりました。

次回は、サラウンドのしくみや最新のDolby Atmosなどオブジェクト・ベース・オーディオについて、もう少し詳しくお話したいと思います。

ラトックシステムのHDMI切替器や分配器などのHDMI機器は、オブジェクト・ベース・オーディオ技術である Dolby Atmos や DTS:Xに対応しています。
自宅でも映画館さながらの再生を楽しんでいただくことができます。

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